ようこそ、氷マニアの世界へ。

シャープ公式 · note(ノート)

冷蔵庫の製氷機で作る氷なんて、「大体どれも一緒でしょ!」「そもそも気にしたことない」と思った方は、あいにくだがもう意思とは関係なく、今日から新しい扉を開けてしまうことになる。

夏場しかほぼ使わないと思っている人も、こぞって、製氷室を覗きたくなる(はず)。

ようこそ、氷マニアの世界へ。

冷蔵庫の製氷機で作る氷にハマって、約20年。
今日も大好きなジャイアンツトートに、プレゼン用のお気に入りの製氷皿と紙粘土で作ったお手製の氷模型を持ち歩く。

氷は気付いたら自動で作られているし、どこのメーカーの冷蔵庫でも一緒だと思われているかもしれないが、実は違う。

全然違う。

特に、氷マニアからすると、シャープの製氷は大きさが全然違う。

通常サイズ/大サイズ通常サイズの氷は、日常で持ち歩く水筒にちょうどいいデカさ。
大サイズは、スポーツボトルと呼ばれる大きめの水筒にギリギリ入る絶妙なデカさを攻めている。

「ただデカイ」のではなく、お酒をロックで飲むのにもちょうど良いデカさを計算してのサイズ感。
デカさ故に溶けにくいので飲み物をしっかり冷やせる。

実は、製氷皿を変えることなく、ボタン1つで「ふつう」と「デカイ」を切り替えて作れる冷蔵庫がいるのだ。

よく見ると、ボタンがある
しかし、商談先で“ちょうど良いデカ氷”と説明してもなかなか伝わる気がしない。出来立ての氷を持参するにも、大阪→関東などの遠征で、溶けてしまっては元も子もない。
そこでたどり着いたのが、冒頭の紙粘土氷だ。

紙粘土にすることで、遠方に運ぶのも心配いらず!これで出来立ての“ちょうど良いデカ氷”を実感してもらえる♪
…と我ながら満足はしていたのだが、いかんせん不器用な私。

商談先の人にはなんとか伝わったが、後々、自信作の紙粘土氷を見た社内の営業担当は苦笑い。

「これをお客様に見せるのは忍びないっすね…」

見かねて、レジン(樹脂)で作ってくれたのがこちら。透明で、より本物の氷に近い!

(初期)紙粘土氷、(進化版)樹脂氷“ちょうどよいデカさ”には、氷作りの妙が詰まっているが、これは後ほどお話する「氷の質」にも大きく関係してくる。

詳しくは【“良い氷”とは?】のパートにてお話したい。

ここまで読んで、氷のデカさに興味が持てないあなた。
お願いです、もう少しだけ待って!

氷の妙は「形」にもあるので、みなさんのご自宅でひっそり楽しむことができます。

特に推しの冷蔵庫 (

型番:SJ-SF50P

)の氷は、製氷皿の場所によって大きさや形が微妙に違って愛おしい。
名付けて、「南国育ち」「ロックンローラー」「北国育ち」の製氷三兄弟。

三兄弟の形や大きさの違いは、製氷室の仕組み・製氷皿へのこだわりから生み出された愛すべき個性なので、こちらも【“良い氷”とは?】のパートでじっくりと語ってゆく。

「北国育ち」の方が小さい秘密、特徴的なロックンローラーの形の理由は後ほどなぜ製氷室にこだわる?

シャープに入社後、冷蔵庫を企画する部署に入り、気付いたら氷沼にどっぷり浸かっていた。

冷蔵庫で作られる氷を考えるあまり、外のお酒の場でも味は二の次だ。
オシャレなバーで頼んだお酒も、氷の形が気になって仕方ない。

溶ける前にあなたの形が見たい。

素早く水分を飲み干して「きれいな氷」を収集するのが、趣味になった。

できるだけ溶けていないベストな状態を収集そんな公私ともに氷に魅了される私のもとに、新入社員が配属された。

料理が好きだから冷蔵庫の企画を第一希望にしたらしい。オーブンも自動調理家電もある会社なのに、あえて冷蔵庫を選択するあたりビビッときた!

もしや氷の魅力にも気づいてくれるかも…?と期待しながら、「見て見て!」と収集した氷の写真を見せる。

「へー面白いですね。」

見事な塩対応をされたけど、私は知っている。

そのうち、きっとあなたも氷の世界にハマるのだ。そうに違いない。

予想に反してなかなかハマる気配がなかったある日、新入社員くんが私に質問をしてくれた。

そういえば、冷蔵庫選びで製氷室を気にする人っているんですかね?
シャープってなんで「製氷」にこだわってるんですか?

空耳だと嬉しいが、そう思う人が大半かもしれない(悲しい)。
何の違和感もなく氷沼にハマっていった私だったが、改めて考えてみるとシャープが「製氷」にこだわり始めた詳しい経緯は知らない。

そこでシャープの冷蔵庫の生産が始まったのと同じ、1957年生まれの大先輩に話聞いてみたら、業界の興味深い歴史が見えてきた。

1960年代から「冷凍室付き」の冷蔵庫の普及が本格化し始めたのを機に、 食品会社も冷凍食品に力を入れるようになり、一般家庭にも冷凍食品ブームが到来。

各社、冷凍室の開発に力を入れるようになったそうだ。

1970年代には、専用冷凍室付きの冷蔵庫が主流になり、製氷可能な冷蔵庫が一般家庭で普及した。
しかし、当時の製氷室はどれも、「氷をつくる」のを人力でどうにかしていた。

手動で水を流し込む製氷皿と、氷を溜めるための貯氷箱が別々になっており、氷ができた際はその両方を一旦冷蔵庫の外に出して机などの上に置き、「製氷皿を手でひねる」という力技で解決してもらう。

ひねって、力技で製氷皿から離氷→貯氷箱に落とし入れる
現代の冷蔵庫は特にファミリー用のサイズであれば、冷蔵庫からかすかに聞こえる「ガコン」という音で氷ができた!と悟ることができるし、こちらが意識せずとも溜めてくれるのが当たり前になりつつあるが、昔は全ての作業が人力一択だったのだ。

当時これに目を付けて、製氷皿・貯氷箱の両方を庫内に入れたまま、製氷皿をくるっと回転させれば簡単に氷が貯氷箱に落とせるものをシャープが開発した。

その名も、「くるりぽん」

最初は「ワンタッチアイスメーカー」と名づけられたが、のちにお茶目な先輩が別名をつけ、代々受け継がれている。

くるりぽん。
これだけ聞いても何のこっちゃわからないが、実物を見ると納得する。

これが噂の、くるりぽんくるりとひねって、氷がぽんと落ちる。
名づけセンスがかなりメロい。言いたくなる。
この可愛くも、ちょっとスマートな発明がシャープの製氷室こだわりのきっかけだ。

当時の資料にも、くるりぽんのご先祖様がひっそりとたたずんでいた。

この“くるりぽん”、特許が切れると同時に各社が導入して一般的になっていった。

さらに、ユーザーの氷への需要が増え「常に貯氷箱を氷で満杯にしたい」との要望が出始め、1980年代後半頃から、各社の冷蔵庫で「くるりぽん」の動きを自動にしたような「自動製氷」が搭載され始める。

しかし、この“自動製氷”が一筋縄ではいかなかった。

自動製氷開発時、モニター品を全国各地に貸し出すと想像もしなかった声が出てきたのである。

「ちゃんと離氷しない」
「製氷皿に亀裂が入った」
「製氷室に水があふれた」

開発現場ではうまくいっていたのに、どうして?
原因追究のために、全国から水をかき集めて評価を繰り返した。
氷の沼にハマった大先輩は勢いそのまま、水の世界にまで足を踏み入れ、当時は製品展開していなかった海外の水の調査までやっていたらしい。

たかが水、されど水。

様々な調査をする中で、製氷に使用された水の成分が全国一律ではなかったことが原因だとつきとめた。

地域によって硬水・軟水による微妙な違いがあったり、井戸水、浄水器、ミネラルウォーターなど、各家庭で使用された水の成分が千差万別だった。

飲料水水質ガイドライン(WHO)より作成今でこそ日本では一般的に軟水が多いことが知られているが、当時は全国の軟水・硬水データが十分になかったので、その微妙な違いは地道に検証するしかなかった。

満足のいく耐久性としなやかさ、しっかりと離氷して“良い氷”を作り続けられる製氷皿を実現するために、製氷皿の形状・材質の試行錯誤を積み重ねた。

その結果生み出された多種多様な水を攻略した自動製氷皿を経て、さらに研究されたものが今日の冷蔵庫には搭載されている。

“良い氷”とは?

自動製氷皿の研究には“その時代に人々は何を求めているか”が常につきまとう。

昔々は、主に食品を冷やす用途で、とにかく「量」が1番に求められていたが、シャープでは現代のニーズに合わせて氷の「質」にも重きを置いて追求し続けている。

そこにどっぷり、沼ってしまった私。

“冷蔵庫で作る氷の質”で考えるポイントは、大きく3つ

あるとにらんでいる。

【ポイント】
①離氷 ②融解時間 ③見た目

それぞれ簡単に説明する。
①離氷
これは前述のとおり、製氷皿から全ての氷をきれいに落とせることが大事だ。水の成分と製氷皿の材質などが重要である。

②融解時間
氷が溶けるまでの時間のこと。氷の大きさも深く関係してくる部分であり、こだわりのポイント。この後詳しくご説明する。

③見た目
マニアにしか伝わらないかもしれない。今回特にお伝えしたいのは「形」。こちらは最後に力説する。

ここからは、②融解時間 ③見た目 の順にみなさんをマニアの世界にご案内する。

まずは、②融解時間。これは1番のこだわりだ。
昨今は、特に、猛暑に立ち向かうため水筒に入れて長時間冷たさを維持できる氷が求められている。
そのためには、十分な大きさ・質量を兼ね備えることが重要だ。

そこで頭をよぎったのが、市販のロックアイス。お酒を飲む時にたまに購入するが、氷が大きく溶けにくい。

ロックアイス
これをおうちの冷蔵庫で作れたら最高じゃないか!

市販のロックアイスと同等の溶けにくさに近づけるべく、冷蔵庫で氷を作っては融解時間を計測する簡易実験を繰り返すようになった。

冷蔵庫の企画を考えつつ、すぐ隣にはじわじわ溶ける氷たち。時々横目で監視・記録する私。
溶けていく姿も、儚く、尊い。

(通常サイズ/大サイズ)氷の涙がしたたる質の良い氷は溶けるまで、ある程度の時間がかかる。シャープの冷蔵庫で作る大氷はデカイので、特に、じんわりじんわり溶ける。

気が付けば日が暮れて人が居なくなり部屋に閉じ込められるかとヒヤヒヤしたこともあった。

アナログな簡易実験をしていた私だったが、前述の新入社員くんにお任せしてみたら、いつの間にかカメラでの監視体制が敷かれ、氷の溶ける様子が全て記録されるようになっていた。

いつしか、新入社員くんもその変化を愛でるようになり、氷オタクと化していた。

できたてほやほやの氷を決められた条件下に勢揃いさせ、ひたすら重さを計り、溶けるまでの時間を計測する。

1つずつ体重計測 / たくさんのコップに整列する氷
そして机上の実験だけでは飽き足らず、実際の使用環境を想定し「水筒に氷+液体を入れた状態での融解時間計測」を行うようになる。
大きくて溶けにくいことと、使いやすさを両立できなければ意味がないのだ。

氷にこだわるあまり水の研究に走った家電メーカーの社員がいるくらいなので、当然、氷が入れられる先の水筒メーカーには、保冷技術を研究している人がいる。

水筒の研究者のおかげで保冷技術が進歩し、なかなか氷が溶けないことは有り難いのだが、本当に溶けない。

待てど暮らせど、溶けない。
朝一から始めても、とにかく溶けないので終わらない。

水筒に鎮座する氷
8時間以上、溶けずに氷が残っていたこともあった。
しかし朝から外出して、丸一日炎天下に居ることを考えると実験時よりも、一層「溶けにくさ」が求められるのだ。

水筒の保冷技術と溶けにくい氷の研究が切磋琢磨している、と勝手にシンパシーを感じる。
水筒を作るメーカーさんでも、もしかしたらどこかで氷の勇姿を見守る実験がされているかも?隠れた氷マニアはこの世にたくさん居そうだ。

冷凍食品の世界には氷の博士がいるようだし・・・沼の深さははかり知れない。

研究が重ねられた水筒は、現代では2ℓも入るスポーツタイプから一度飲んだらすぐ底を尽きそうなお出かけ用120mℓまで 、需要に合わせて大きさのバリエーションが多種多様だ。

ものによって、口径が違うのでとにかく計りまくった。

【全国の水を集めた先人もいれば、水筒の口径を計りまくる後人もいる】

最適な氷の大きさを見極めるために、水筒口径マニアにもなってしまったのだ。

そして最後が、③見た目。
特にお伝えしたいのは形。前述の通り目指すは、ロックアイス!
家飲みでちょっとこだわりたい時に、コンビニなどで買う氷。

いかにも機械で精密に作られた左右対称な氷ではなく、大きな氷をかち割ったような形状。

ロックアイスを再現すべく、あえて左右非対称
より自然な形状のロックアイスを再現すべく何度も製氷皿を改良した。
それが冒頭に登場した、こだわり製氷皿の製氷3兄弟だ。

【氷の形を愛でる】

みなさんが想像するであろう製氷皿と、シャープのこだわり製氷皿は見た目からちょっと違うので比べてみた。

(上)よくある製氷皿 (下)こだわりの製氷皿
ここからは製氷3兄弟である、南国育ち・ロックンローラー・北国育ちの氷についてそれぞれの個性と愛で方をお伝えしたい。

まずは、真ん中っ子。

【ロックンローラー】

名前の由来は、市販されている大きな氷をかち割ったようなロックアイスに近い形状であること。
そして、少しトガったエッジの強い個性的な姿を、私の青春時代を彩ったロックンローラーに重ねている。

このトガらせの斜めの角度も、数多の実験を経てこだわりぬいて作られている。

次に、「北国育ち」と「南国育ち」。
「北国育ち」は製氷皿の位置で言うと、冷蔵庫の扉側である手前でできた子たちのことをこう呼んでいるのだが、冷気の流れが由来している。

水を氷にするための冷風は、冷蔵庫の奥側から手前に出てくる。
冷気は手前側の壁でぶつかり留まりやすいため、実は手前→奥の順に冷えやすい。
したがって、冷蔵庫の扉側である手前でできた子たちは「北国育ち」と呼んでいる。

冷蔵庫の奥側、冷気がじわじわ届く場所でできた子たちは「南国育ち」と呼んでいるが、私の1番の推しだ。

「南国育ち」の生まれたてほやほやは、大きくてプリンとした子が多いので美しい!!
これにも、先ほどの冷気の流れが関係している。
北国側から先に凍っていき、体積の膨張で押し出された水が南国側に流れていくため、最終的に南国育ちが大きく、プリンとしやすいわけだ。

もちろん「氷と氷の間にあるくぼみ」に流れ込んだ水が凍って、ちょぼつきができることもあるが、それはそれで羽がついてるようで愛おしい。

ちょぼつき氷
日常生活でも「氷、氷」と言ってしまう私だが、やはり冷蔵庫の中で「製氷室」は影の存在だ。そもそも話題にあがることの方が稀である。

製氷室の場所(SJ-SF50P)やれ「南国育ちだ、北国育ちだ」と今こうして語っているのも、本当に大丈夫なのかしらと少し不安ですらある。

幸いにも、親戚は私の冷蔵庫愛を知ってか、冷蔵庫を買い替える際は大体シャープ製を選んでくれる。

先日、冷蔵庫を買い替えたばかりの妹宅で集まってご飯会が開かれた。シャープ製を選んでくれたことを知って、会う前からほくほくした気持ちだ。

「姉さん、どうぞ」
義弟が出してくれたのは、なんとシャープの製氷室で作れる「大氷」を使った、ハイボールだった。

しかも、私の好きな「南国育ち」の子も見つけた。

ただの氷と思われるかもしれないが、わが子が発表会や授業参観で頑張る勇姿を見てしみじみ浸るような…そんな感覚すらあった。

外の世界でしっかりと仕事をしている製氷室と、生まれてきた氷たちに乾杯!

あぁ、おいしい。ほんまに沁みる。
喜びひとしお。氷、氷と地味に言い続けてきた甲斐があった…。

ここまで熱く語ってしまった、

製氷室のおもしろさ。

家電量販店にズラーっと並ぶ冷蔵庫。
奥行の薄さ、冷凍室の大きさ、デザイン性…などを見る人は居ても、「製氷室」に注目してくれる方は少ないだろう。

もちろん、シャープも奥行の薄さなどにもこだわりを持って開発してきているが、加えて少しでも「製氷室」にも注目してくれる方が増えれば嬉しいなと思いをはせる。

製氷室は氷がなくなることがないように、水がある限りせっせと作り続ける。他の部屋と比較して、一番小さい部屋にも関わらず常に働き続けている部屋だと思う。
また、他の部屋は冷却して食品を保存しているが、この部屋は水を固体(氷)にすることで水と違う用途に変えてしまうところにも面白味がある。

小さい空間にギュっと詰め込まれたこだわりを背負って頑張っている製氷室を、今一度のぞいてみてほしい。

きっと、1つ1つの氷に違いを見つけられたり、気付いていなかった製氷室の機能を知ることになるはずだ。

さあ、これであなたも、氷マニアの仲間入り。

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【関連リンク】

大小切り替え氷搭載モデル(SJ-SF50P)